「予防接種をすれば軽くすむ」という幻想。

題名は以下の本から引用しています。

まちがいだらけの予防接種―子どもを愛するすべての両親

インフルエンザワクチンを接種すれば、インフルエンザにかかっても軽くすむ、という話はよく聞きます。

では、一体何を根拠にそのようなことを話しているのか。

調べてもその証拠となるものは一切でてきません。

おそらく、テレビや新聞で垂れ流した嘘が、真実であるかのように広まっただけでしょう。

今日は、その幻想を解いていきたいと思います。

以下、先ほど紹介した本からの引用になります。

ーーーーーーーーーーーー以下、「まちがいだらけ予防接種」のp56より引用
ワクチンはよく効く、予防接種さえしておけば病気にかからないから安心だ、とうのは幻想です。この幻想が見破られてしまったので、新たに医者が持ち出してきたのが、「予防接種をしておけば病気にかかっても軽くすむ」という説です。しかし、接種したから軽くすんだというデータはありません。そんなデータを取ることは不可能です。なぜなら、一人の人間の同じ状態の時に、接種した場合としなかった場合との両方のテストをすることが不可能だからです。
ーーーーーーーーーーーーーー引用ここまで

同じ人がワクチンを接種した状態と接種していない状態でインフルエンザにかかったとしても、その時の栄養状態や生活環境がまったく同じであるはずがありません。

なので、接種したから軽くすんだ、ということは本当は誰にもわかりません。

ひょっとすると、インフルエンザワクチンは症状を軽くすることができる、と信じていれば、プラセボ効果によって少しだけ症状を軽く抑えることができるのかもしれません。

プラセボ効果について知りたい方は以下の記事を参照してください。

プラセボ効果とは何ですか?

いずれにせよ、根拠がないのにも関わらず予防接種をすれば軽くすむ、と信じられているのです。関節痛を軽減したり、高熱になりにくいと信じられているのです。

ーーーーーーーー「わしお耳鼻咽喉科スタッフブログ」より転載
「高い熱がなくて、頭痛や関節痛あまりなかったら、インフルエンザではない」  これは残念ですが不正解
インフルエンザの検査が簡単に出来るようになって、体温が37℃台の微熱や36℃台の平熱と思われる症状であっても調べてみるとインフルエンザだったということは多くみられます。
ーーーーーーーーーーー転載ここまで

このようにインフルエンザでも高熱にならないことが多く見られます。

私の職場でもインフルエンザが流行している時期であれば、微熱の患者さんであっても、 迅速抗原検査キットによってインフルエンザウイルスの有無が調べられます。

そうすると、インフルエンザウイルス陽性反応がしばしば出ます。

看護師さんも「微熱のインフルエンザは多い」と言います。

ですが、インフルエンザワクチンの効果を疑問に思わない人は以下のように考えます。

インフルエンザワクチンを接種していなくて、微熱が出たら、今年のインフルエンザは高熱にならないと言う。

インフルエンザワクチンを接種していて37℃の熱が出たら、38℃にならずに済んだと言う。38℃の熱が出たら、39℃にならずに済んだと言う。39℃の熱がでたら40℃にならずに済んだと言う。治るのに2日かかれば、ワクチンのおかげで早く治ったと言う。治るのに4日かかれば、ワクチンを打っていなければもっと長引いたに違いないと言う。

まあ、何を信じるかどうかは人の自由です。

当たり前のことですが、インフルエンザの症状は人によって様々です。

ーーーーーーーーーーーーーーー以下、こちらより転載
典型的な症状は、急に38℃以上の高熱が出て、喉や体の節々が痛み、ゾクゾク寒気がするというもの。風邪よりも症状の現れ方が急激で、症状が重いのが特徴だが、意外なことに軽い症状のインフルエンザも少なくないという。「微熱や鼻水が出る程度でも、検査をしてみたらインフルエンザ陽性だったという例もある。しかし軽症でも周囲の人にうつしてしまうリスクはあるので、咳エチケットを心がけてほしい」(岩田部長)。こうした「隠れインフルエンザ」の存在は迅速診断検査の普及により、わかってきたことだという。同じウイルスに感染しても、体がどう反応するかは人により異なる。「若い人や体力のある人は高熱や節々の痛みなどの激しい症状が現れやすいが、高齢者や体力のない人では強い症状があまり出てこないことも多い」と千葉大学医学部附属病院和漢診療科の並木隆雄教授は話す。
そもそも発熱や痛みなどの症状は、体の免疫機構が侵入したウイルスから体を守ろうとする生体防御反応の現れ。つまり、治す力が強い人ほど、症状も激しくなる傾向がある。「具合が悪いときは仕事に出ないで、家で安静にすることが大切」と岩田部長はいう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー転載ここまで

若い人や体力のある人は高熱や節々の痛みなどの激しい症状が現れやすい、というのが正しいのかどうかはわかりません。

ですが、このようにインフルエンザでも症状が軽い人は現実にたくさんいるようです。

そもそも、インフルエンザにかかっても症状が軽いと病院には行かないことが多いと考えます。

なので、インフルエンザであっても症状が軽いことは意外でもなんでもありません。

病院に行かないと自分がインフルエンザであるかどうかすらわかりません。

逆に、症状が重い人ほど、病院に行く傾向があるため、インフルエンザに罹れば高熱になるというイメージが出来上がったのでしょう。

症状が軽いだけで「隠れインフルエンザ」の人は多いと予想できます。

つまり、ワクチンを打っても打っていなくても、インフルエンザの症状が軽い人はたくさんいるということです。

しかも、人によって平熱も違います。関節の痛み具合や感じ方も人それぞれです。

なので、「インフルエンザワクチンによって症状が軽くすむ」という根拠はどこにもありませんし、根拠は示すことはできません。

また、インフルエンザ以外のワクチンでは接種をすれば軽くすむ、ということは一般的に言われません。

他のワクチンはそもそも罹患数が少ないからです。

なので、接種をしても罹患する人が少ないため、ワクチンで症状を抑える事ができる、と言う必要はありません。

ですが、インフルエンザに関しては毎年予防接種をしても罹患する人がたくさんいるため、インフルエンザワクチンに関しては言い訳が必要だったのでしょう。

「インフルエンザワクチンは症状を軽くすませる」は何の根拠もないデタラメな情報です。