ワクチンの有効性を示す説明は大きく分けて2つあります。
「統計(グラフや表)」と「抗原・抗体」の話です。
今回の記事ではワクチンの有効性を示すグラフや表について考察していきます。
ワクチンについて調べていなくても以下のようなグラフを見せられて、ワクチンが有効だという主張を一度は見たり聞いたりしたことがあると思います。
確かに、グラフだけを見るとワクチンによってジフテリアの患者数や死亡者数が減少しているように見えます。
でも本当にこれが真実なのでしょうか。ワクチンのおかげで人々の病気は減ったのでしょうか。
基本的な話ですが、感染が成立するためには「感染源」「感染経路」「宿主(感染を受けやすい人)」の3つの要素が必要になります。
ワクチンは「宿主」に、ある特定の病気に対する抗体をつけて、免疫を増強させるために使用されるものです。
つまり、人が感染を受けにくくして、感染が成立するの要素の一つである「宿主(しゅくしゅ)」を消すとされているのがワクチンです。
しかし、感染が成立する要素は「宿主」だけではありません。
感染を受けやすい人がたくさんいたとしても、「感染源」や「感染経路」のどちらか一つでも無ければ、感染によって病気になることはありません。
なので、上のグラフでジフテリアの患者数は減少していますが、ワクチンが最大の要因とは限りません。
1945年の戦後以降、徐々に上下水道などの生活環境がさらに改善され、「感染経路」を無くなったために病気が減っていったということも考えられます。
また、戦中や戦後直後は食料不足などで人々の栄養状態が悪いことは容易に想像できると思います。
栄養状態が悪ければ、体の抵抗力が弱り、人に大きな害を与えないような弱い菌であっても、感染して病気になっていたことでしょう。
このように病気を防ぐ要因はワクチンだけでなく、生活環境や栄養状態などの様々な要因があります。
よって、先ほど載せたグラフのようにワクチンを接種してから、病気が減少したというデータを見せられても、本当にワクチンによる効果なのかわかりません。
もちろん、これだけではワクチンを否定することができないのも確かです。
上に載せたようなグラフの本当の正しい解釈は
①ワクチンが導入されたから病気が減った。
②人々の栄養状態が良くなったから病気が減った。
③生活環境、衛生状態が良くなったから病気が減った。
などです。
この3つの全てが正しいのかもしれませんし、①が間違っていて、他が正しいのかもしれません。
いずれにせよ、グラフだけではワクチンが有効だという証拠にはなりません。