ワクチンの矛盾。~ウイルスの変異について~

前回の記事では「インフルエンザワクチンを接種すれば軽くすむ」ということがまったく根拠のない話であることを明確にしました。

「予防接種をすれば軽くすむ」という幻想。

そして、インフルエンザワクチンの接種者が増加しても、罹患数が減る気配はありません。

その理由は「インフルエンザウイルスは変異しやすいから」というのがワクチン推進派と反対派の一般的な見解です。

ですが、本当にそれが正しいのでしょうか。

今回の記事を読んで頂ければ、ウイルスの変異とワクチンの予防効果は、実はまったく関係がないかもしれない、ということが分かります。

ウイルスの変異とワクチン予防に関する矛盾を指摘したいと思います。

はじめに、ワクチンについて調べていると、インフルエンザウイルスは変異しやすいから効きにくい、天然痘は変異しないから根絶できたと書かれています。

庶民はウイルスの変異を実際に見ることができませんので、通常、これらの言説をそのまま信じることになると思います。

しかし、天然痘は変異しないから根絶できたと考えたり、インフルエンザウイルスは変異しやすいから毎年流行すると考えると矛盾が生じます。

ウイルスには大きく分けて、DNAウイルスとRNAウイルスと呼ばれるものあります。

そして両者ともにウイルスに変異が生じます。

実際に以下のような研究もあります。

RNA ウイルスと変異

この論文ではRNAウイルスの変異能力について調べられています。

ここで重要になってくるのはDNAウイルスとRNAウイルスの変異能力の違いについてです。

以下、ウィキペディアからの引用になります。

ーーーーーーーーーー「DNAウイルス」より転載
DNAウイルスには増殖の過程で生じたDNA複製のミスを修正する機構が備わっているので、RNAウイルスと比較すると遺伝子の変異が少ない。したがって、長期にわたって同じワクチンが使用可能であり、天然痘をワクチンによって根絶することができたのも天然痘ウイルスがDNAウイルスであったためであるとされる。
ーーーーーーーー転載ここまで

DNAウイルスは変異が少なく、RNAウイルスは変異が多いようです。

では、DNAウイルスやRNAウイルスにはどのようなものがあるのでしょうか。

再び、ウィキペディアからの引用です。

ーーーーーーーーーー「DNAウイルス」 より転載

・ポックスウイルス科 – 天然痘ウイルス、サル痘ウイルス
・ヘルペスウイルス科 – 単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス
・アデノウイルス科 – アデノウイルス
・パポバウイルス科 – パピローマウイルス、 JCウイルス
・パルボウイルス科 – パルボウイルス
・ヘパドナウイルス科 – B型肝炎ウイルス
ーーーーーーーーーー転載ここまで

ーーーーーーーーーー「RNAウイルス」より転載
・アレナウイルス科 : ラッサウイルス、マチュポウイルス、フニンウイルス
・オルトミクソウイルス科 : インフルエンザウイルス
・カリシウイルス科 : ノロウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス
・コロナウイルス科 : SARSコロナウイルス、MERSコロナウイルス
・トガウイルス科 : 風疹ウイルス、チクングニアウイルス
・ノダウイルス科 : ウイルス性神経壊死症ウイルス
・パラミクソウイルス科 : ムンプスウイルス麻疹ウイルス、RSウイルス、セン ダイウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス
・ピコルナウイルス科 : ポリオウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイ ルス、エコーウイルス、A型肝炎ウイルス
・フィロウイルス科 : マールブルグウイルス、エボラウイルス
・ブニヤウイルス科 : クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、SFTSウイルス、ハンタ ウイルス
・フラビウイルス科 : 黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ジカウイルス、日本脳 炎ウイルス、西ナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス
・ラブドウイルス科 : 狂犬病ウイルス、リッサウイルス
・レオウイルス科:ロタウイルス
・レトロウイルス科 : ヒト免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ好性ウイルス、サル 免疫不全ウイルス、STLV
ーーーーーーーーーー転載ここまで

DNAウイルスに分類されるウイルスには「天然痘ウイルス」「水痘・帯状疱疹ウイルス」「アデノウイルス」「B型肝炎ウイルス」などがあります。

どのウイルスもワクチンが開発されてはいますが、「天然痘ウイルス」のように撲滅できる気配はまったくありません。

「水痘ワクチン」は日本において長く任意接種でしたが、2014年に定期接種になりました。 「B型肝炎ウイルス」は2016年に定期接種になりました。

ウイルスの変異が少ないDNAウイルスでも40年前に全世界で根絶されたものもあれば、技術が日進月歩している医療でも未だ、撲滅の兆しがまったくなく、最近になってようやく定期接種になったものもあります。

その一方で、変異が多いとされる「RNAウイルス」に属する「ポリオ」は日本で根絶されました。

また、「風疹」「麻疹」も昔に比べて激減しました。「麻疹」に関しては撲滅運動が開始されているほどです。

「日本脳炎」も毎年数名ほどが罹患するだけで、そのほとんどは高齢者です。

このように変異が多いとされる「RNAウイルス」でも根絶されたものもありますし、激減したVPD(ワクチンで防げるとされる病気)があります。

このように「変異が少ないから撲滅できた天然痘、変異が多いから毎年ワクチンを接種しても流行してしまうインフルエンザウイルス」という説は他のウイルスにはまったく当てはまりません。

これを矛盾と言います。

インフルエンザが毎年流行する理由は変異が多いからではない、と考えた方が自然です。