一般的に麻疹の感染力はとても高いとされています。
サイトや文献によって異なりますが、インフルエンザの10倍の感染力があると言われたりするほどです。
その脅威の感染力より、しばしば麻疹の患者が発生したり、流行するとニュースになるほどです。
例えば、以下のニュースを御覧ください。
このように少し流行したり、感染者が発生するとニュースに取り上げられます。
このようなニュースが流れると人は少なからず不安を抱きます。
しかし、現実を見てください。
感染した人の周りで感染が拡大したのか。
感染が流行したとされる地域からさらに感染が拡大したのか。
学級閉鎖が全国で発生したのか。
現実を見るとインフルエンザのように感染は拡大していません。
インフルエンザの場合、毎年全国で流行するのに、麻疹は流行しても一部地域で収束しています。
インフルエンザのように広がり続けることはありません。
このようにインフルエンザと比べると麻疹の感染力は決して高くありません。
ではインフルエンザよりも感染力が非常に強いという話はどこから来ているのでしょうか。
どうやら「基本再生産数」という指標によって、麻疹の感染力は強いとされているようです。
ーーーーーーーーーーー以下、(「はしかの脅威と驚異」p3 )
病原体の感染性を示すものとして、疫学では基本再生産数という指標が用いられている。
これは、流行が起きた際に感染の拡大状況を追跡調査して求めた、ひとりの患者が感染させた平均人数である。表1に示したように、麻疹はウイルスの中で、もっとも高い基本再生産数となり、インフルエンザの6倍という感染性である。
単純計算では、麻疹患者一人が少なくとも12名に感染をうつし、その2名は、さらに144名に感染をうつして拡大することになる。
ーーーーーーーーーーー引用ここまで
このように、「基本再生産数」は感染力の指標に用いられています。
次に、「基本再生産数」についてです。以下はウィキペディアの記事になります。
ーーーーーーーーーーーーこちらより転載
基本再生産数(英語:Basic reproduction number、表記R 0:アール ノート)とは、疫病の感染力、人口の増加減少などに使われる数字である。
疫学上、感染症流行を予測・抑制することは公衆衛生上で重要な課題であり、その問題に対して、個体群生態学で使用された数理モデルの安定性分析などが感染症疫学でも流用できたことから、この研究分野が発展する事となった[9]。
R 0は以下の式であらわされる。βは感染率,γは回復率や隔離率である。
R 0 = β/γ
ーーーーーーーーーーーーー転載ここまで
「基本再生産数」は感染率と回復率で算出されています。
感染率や回復率は感染の拡大状況を追跡調査をして求めているようです。
ですが、実は感染率を調べることは途方もなく難しいものになります。
インフルエンザを例にして考えていきます。
例えば、父親がインフルエンザにかかったとします。
父親以外の母親や子供がかかっていない場合、どこから感染した考えられるでしょうか。
職場やお得意先。もしくは通勤中のバスや電車かもしれません。
学校でインフルエンザが流行っているなら、確率は低いですが、不顕性感染で子供から移ったかもしれません。(不顕性感染とは感染が成立していながら臨床的に確認しうる症状を示さない感染様式のことを示す)
インフルエンザが流行している時期であれば、どこから感染したかを特定することは非常に難しくなります。
しかも、どのウイルスでもそうですが、潜伏期間が存在します。
インフルエンザの潜伏期間は約1日~3日と言われていますが、そこまで考慮すると何日にこの人から移された、と特定することは不可能です。
さらに、「基本再生産数」を算出するには回復率も求めなければなりません。
ここまでくると、本当に感染の拡大状況を追跡調査して求めているのか怪しくなってきます。
仮に、追跡調査できたとしても麻疹がインフルエンザウイルスよりも感染力が強いという結果はおかしいです。
2007~2008年に、日本で1万人の麻疹罹患者を超える大流行が起きたようですが、インフルエンザは毎年約1000万人が罹患します。
どちらの方が感染力が大きいかは歴然としています。
以上より、「基本再生産数」はインチキである、と考えてよさそうです。