「補体結合反応(CF:Complement fixation)」を用いて、抗体の有無や量を調べることができます。
抗体の有無や量を調べる検査を総称して、「免疫血清学検査」と言います。
「補体結合反応」は「免疫血清学検査」のうちの一つになります。
今回は「補体結合反応」について、詳しく見ていきます。
以下はwikipediaの「補体結合反応」になります。
ーーーーーーーこちらより転載
補体結合反応とは抗原抗体複合体と補体が結合する性質を利用した反応。抗原、抗体、補体が存在する溶液内では抗原が抗体に特異的に結合し、その抗原抗体複合体に非特異的に補体が結合する。また、補体は感作赤血球と結合して溶血を起こす。検体に一定量の抗原と補体を加え、一定時間反応させた後の感作赤血球を加えると、検体内に抗体が存在する場合には抗原抗体複合体に補体が結合し、感作赤血球に結合する補体がなくなるため溶血を示さない。反対に検体内に抗体が存在しない場合は溶血を示す。つまり、補体結合反応では溶血を示さなければ陽性、示せば陰性である。
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では「補体」とは何なのでしょうか。
再び、wikipediaからの引用です。
ーーーーーーーーこちらより転載
(ジュール・ボルデは)血清に関する研究を続けるなか、血清を55度に加熱すると抗体が残っているにもかかわらず、細菌に対する血清の作用が失われることを発見した。ボルデの考えによると、抗体の作用に欠かせないが、熱に弱い成分が血清中に存在するというものである。この成分をアレキシン(alexine)と命名したが、現在ではエールリヒによる補体という名称が使われている。さらに、免疫を獲得した動物の血清だけではなく、まだ免疫を獲得していない動物の血清中にも補体が存在することを確認した。1905年には補体結合反応を発見する。
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要するに、「補体」は抗体の働きを補助する物体とされています。
「補体結合反応」の検査の手順は試料((採血で得られた血清中の抗体)に抗原を添加します。
血清中に抗体が存在すれば、試料に抗体が存在すれば、抗原抗体複合体を生成され、補体は消費されます。資料に抗体が存在しなければ、抗原抗体複合体は生成されず、補体の量は変わりません。
しかし、これだけは補体がどれだけ消費されのかを肉眼で確認することはできません。
そこで、詳しい理由はわかりませんが、ヒツジの赤血球を試料に加えます。
そして、「溶血」が起きるか起きないかを確認します。
「溶血」とは赤血球が破壊される現象です。
「補体」は赤血球と結びつき、溶血を起こすという性質があります。
なので、試料に抗体があれば、「補体」が消費され、「溶血」を起こさない。
逆に、抗体がなければ、「補体」は消費されずに試料に存在したままになるため、「溶血」を起こす。
話が少しずれるかもしれませんが、病院で「採血をもう一度させてください」と言われる場合があります。
その採血の失敗の理由の一つに「溶血」が挙げられます。
採血はまず遠心分離器にかけられます。
通常は(溶血していなければ)、上の写真のように、上澄み液は黄色になります。(出典はこちら)
しかし、溶血していれば、以下の右側の写真のように上澄み液は赤くなります。(出典はこちら)
このように、「補体結合反応」を用いて、溶血の有無によって、抗体の有無や量を調べることができます。