ワクチンで防げるとされる疾患については、「衛生状態」や「栄養状態」、「診断基準」や「検査方法の変遷」などを考慮して、その疾患の増減の要因について考えるべきです。
そうでないと、ワクチンの有効性を示すグラフを見せられた時に、簡単にワクチンが有効であると思い込まされてしまうからです。
例えば、以下のグラフはどうでしょうか。
一見すると、ジフテリアのワクチンによって患者数、死亡者ともに減少しているように思えます。
しかし、ここに庶民を騙すトリックが隠されていました。
以下の本に詳しく書かれていましたので、紹介させて頂きます。
ーーーーーーーー「ジフテリア予防接種禍事件」p207~p210より引用
図5-1はこういった実例として挙げられるジフテリアの発生率のグラフである。
かつて猛威を振るったジフテリアは予防接種の様々な工夫により、ついに絶滅に近いところまで克服された。
そのようなことを如実に示すのがこのグラフである。グラフは終戦直後からずっと続くジフテリアの減少を示し、予防接種の効果を如実に表しているように見える。
たいていの人はこのグラフに強い説得力を感じ、現代医学の精華を納得する。しかし、良く見ると実はこのグラフにはトリックがほどこされているのである。
縦軸の目盛は均等ではなく10、100、1000といった対数目盛のようになっている。もちろん対数目盛を用いることが非科学的と言うのではない。「のように」と書いたが、このグラフの目盛は対数目盛そのものではない。
対数目盛ならば、小さい方は10、1、0.1、0.01」と続き、ゼロにはならない。このグラフではいきなりゼロが現れる。
結果的に、このグラフは上のほうを極端に寸詰まりにした不可思議な目盛を使ったグラフと言うしかない。横軸にも作為がある。
このように10年で一桁の減少というグラフは、その起点が問題になる。
逆を言えば過去に遡れば10年で一桁増えることになるから、このグラフからは何10年か前に日本人全員がジフテリアだったことを想定してしまうことになる。
1945(昭和20)年以前を書かないということが作為に当たるのである。
もちろん戦前にもデータはあり衛生局年報という形で毎年出版されている。では、普通の均等目盛で、戦前のデータも含めたグラフを作るとどうなるか。図5-2がそのグラフである。
同じデータでも全くちがったグラフが書ける。
そして、このグラフからは、予防接種の有効性が全くちがった様相で捉えられる。
まず重要なことは、ジフテリアが戦中に猛烈な勢いで蔓延したことである。日中・日米の一五年戦争では多くの成年男子が戦場で死に、女性・老人は空襲で死んだ。
子どもたちは、栄養不足の中でジフテリアを始めとする伝染病で死んでいったのである。そして、敗戦とともにジフテリアは急激な減少を見た。
戦後の混乱期などと言われるが、それは戦中に権力を持っていた人たちのことで、庶民にとって敗戦は、空襲の恐怖、病気の恐怖からの解放であった。
1944(昭和19)年がピークで8月に敗戦があった45(昭和20)年にはすでに発生率が低下している。
まだまだ生活の苦しい時ではあったが、全ての労働力を戦争に取られていた時期と違って、生きるために力を注いでも良くなったことが大きい。
1946(昭和22)年、1947(昭和22)年には予防接種が予備的に行われているが、全員ではない。
無理な予防接種を行った1948(昭和23)年ジフテリア禍事件の時にはすでに桁違いの小さな発生率になっていた。大流行に対するような接種の緊急性はなかったことになる。
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